慢性リンパ性白血病(CLL)の疾患Q&A

Q10

  • 慢性リンパ性白血病(CLL)の治療内容はどのようにして決められるのでしょうか?

A

治療方針は、初回治療と再発の場合は異なりますが、初回治療の場合は患者さんのフィットネスと染色体・遺伝子異常の有無、そして再発した場合はフィットネスと染色体・遺伝子異常の有無に加えて、再発までの期間、そして初回治療がうまくいかなかった場合は薬が効かなかった(治療抵抗性といいます)か、副作用などで治療が続けられなくなったのかで異なります1)
フィットネスとは標準治療が実施できるかどうか、日常生活の制限の程度や合併症の状態などで判断する指標です。薬によっては腎機能が悪いと使用できないことがありますし、心臓が悪い場合は使いにくい薬剤もありますので、治療法によってフィットネスは少し変わってきますから、担当医と相談をしてください。
染色体・遺伝子異常ですが、染色体17p(17番目の短腕をpというのでこう呼ばれます)が欠失といって、なくなった状態です。17pにはがん抑制遺伝子として大切なTP53が存在する場所です。この異常がある場合は、効きにくい薬剤があることが分かっています2)。日常診療では、FISH検査という染色体検査を実施して、17p欠失を調べます。

再発した場合は、再発までの期間が36ヵ月未満か、それ以上かで治療法が変わります1)
さらに大切なことは、患者さん自身のご希望です。入院をしたくない・できない、通院のしやすさ、仕事や家族との関係、経済的な負担など様々なことをすべて考慮したうえで、ご自身の希望をしっかり担当医に伝えて一緒に考え、治療を選ぶようにしてください。そうすれば、納得して治療を行うことができます。
ちなみに、CLLには様々な治療法があります。代表的な治療については、以下の参考記事もご覧ください。

慢性リンパ性白血病(CLL)の治療内容はどのようにして決められるのでしょうか?

【CLLライフ内 参考記事】

慢性リンパ性白血病(CLL)の治療の種類

【参考文献】

  • 藤本 亜弓 他. 特集 慢性白血病―最新の診断と治療―:慢性リンパ性白血病とその類縁疾患の治療, 日本臨牀. 2021; 79(11): 1746-1754.
  • 鈴宮 淳司 他. 造血器腫瘍に対する新規治療法 4)慢性リンパ性白血病, 腫瘍内科. 2020; 26(6): 618‐625.
  • 1) 日本血液学会編: 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 金原出版, 2023, pp.147-172
  • 2) Hallek M, et al. Lancet. 2010; 376(9747): 1164-1174.

治療開始前のよくある質問

その他のよくある質問