慢性リンパ性白血病(CLL)の病態

慢性リンパ性白血病(CLL)とはどのような病気なのでしょうか?このページでは、CLLの病態やSLLという関連疾患について、血液の細胞がつくられる仕組みに注目しながらご紹介します。

血液の細胞がつくられる仕組み1,2)

血液は、細胞成分にあたる血球と液体成分の血漿(けっしょう)に分けられます。健康な人の場合、血球は骨の中にある骨髄でつくられます。骨髄には、すべての血液細胞のもとになる細胞(造血幹細胞)があり、そこから白血球・赤血球・血小板がつくられます。
CLLに関係するのは、白血病という名前の由来である白血球です。

血液の細胞がつくられる仕組み

慢性リンパ性白血病(CLL)では、白血球のB細胞が末梢血や骨髄で増殖1)

白血球には顆粒球、単球とともに、免疫で大事な役割を果たすリンパ球としてT細胞ナチュラルキラー(NK)細胞B細胞など様々な種類があります。このうち、CLLに関係するのはリンパ球の一つであるB細胞です。

CLLでは、白血球のB細胞が末梢血や骨髄で増殖

CLLでは、ウイルスや細菌などの“外敵”とたたかう抗体をつくるB細胞ががん化し、がん化した異常なB細胞が増殖してしまいます。

B細胞のがん化

異常なB細胞は、主に骨髄や血液の中で増えてしまいます。

異常なB細胞

この異常なB細胞の表面にはCD5、CD23と呼ばれる特有のマークがあります。

CD5とCD23

小リンパ球性リンパ腫(SLL)という病気もある1)

CLLと同じがん細胞(異常なB細胞)が引き起こす病気として、小リンパ球性リンパ腫(SLL:Small Lymphocytic Lymphoma)があります。
CLLでは異常なB細胞が末梢血や骨髄、脾臓、肝臓、リンパ節で増殖します。SLLでは、異常なB細胞が主にリンパ節で増殖し、末梢血や骨髄にはほとんどみられません。しかし、CLLとSLLの異常なB細胞は両方とも同じ種類の細胞のため、同じ病気と理解されています。

  • 1) 国立がん研究センター:がん情報サービス 一般の方向けサイト それぞれのがんの解説 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫 https://ganjoho.jp/public/cancer/CLL/index.html [2024年1月29日アクセス]
  • 2) 直江知樹編:インフォームドコンセントのための図説シリーズ 白血病/骨髄異形成症候群, 大阪, 医薬ジャーナル社, 2013, p.8

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