CLLとは?

CLLの診断と検査

CLLの診断基準

CLLの基本的な診断基準は、以下の通りです(体に出ている症状を考慮することもあります)。

これらの診断基準を満たし、マントル細胞リンパ腫や濾胞性リンパ腫などのCLLの類縁疾患が否定されて、はじめてCLLと診断されます。

  • 血液中の腫瘍細胞であるリンパ球の数が5,000/μL(マイクロリットル)以上である場合1)
  • 血液中のリンパ球の数が5,000/μL未満でも、腫瘍細胞※が骨髄に浸潤し、赤血球・白血球・血小板の減少がある場合1)

※ここでの腫瘍細胞は、「CLLの病態(こちらのページ)」でご紹介した異常なB細胞のことです。表面に特有のマークであるCD5とCD23という分子がみられることが特徴です。

1) 国立がん研究センター:がん情報サービス 一般の方向けサイト それぞれのがんの解説 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫
https://ganjoho.jp/public/cancer/CLL/index.html [2020年7月26日アクセス]

CLLで検査をする目的

以下の目的のために検査があります。

  • 診断を確定
  • 適切な治療方法の選択
  • 治療効果や治療の安全性の評価

医師から今までの経過などを聞かれたり、リンパ節が腫れていないか、肝臓や脾臓が腫れていないかを診察されるのは、他の白血病やリンパ腫でも一緒です。

CLLでよくおこなわれる検査

1)診断の確定のための検査

採血をして、リンパ球数、末梢血塗抹(とまつ)標本でリンパ球の形態(形)の検鏡(顕微鏡を使って観察すること)、免疫形質のための検査としてフローサイトメトリー検査(リンパ球表面の抗原を、機械を使って調べる検査)や免疫組織学的検査は必ず実施します。さらに他の似たような白血病やリンパ腫と区別するために、FISH検査や遺伝子検査を実施します。CLLに似たような白血病やリンパ腫の鑑別のために、骨髄検査を実施することもよくあります。他には、CT検査やPET検査などの画像検査や、胃や大腸に病変がないかどうかなどを調べるために内視鏡検査を実施することもあります。


  • 血液塗抹(とまつ)標本1,2)

 末梢の血液や骨髄中から詳細な検査のための塗抹標本をつくって、顕微鏡で調べます。CLLでは、成熟リンパ球の増加が確認できます。

  • 細胞表面マーカー検査(フローサイトメトリー検査)3)

フローサイトメトリーという方法を使って、細胞表面にある特有のマークを調べます。 CD5、CD23という特有のマークがB細胞の表面にあると、CLLを引き起こすがん細胞と推測できます。しかし、CLLの診断はあくまで、リンパ球の形態、免疫形質、他のリンパ系腫瘍に発現する染色体や遺伝子異常がないという、所見を合わせた総合的な判断で確定診断がされています。

2)適切な治療方法の選択のための検査や話し合い

① 治療抵抗性に関係する染色体異常や遺伝子異常の検査

末梢血、骨髄やリンパ節などにあるCLL細胞を使って調べます。殺細胞性抗がん薬(従来の抗がん薬)の治療が効きにくい遺伝子異常を持ったCLL細胞が増えているかどうかを調べます。FISH法(特に、17p欠失)やGバンド法と呼ばれる染色体検査やTP53などの遺伝子の異常を調べます。免疫グロブリン重鎖遺伝子の遺伝子変異(IGHV変異)が調べられると治療法を選択する場合に有用ですが、残念ながら国内でそれを調べることが可能な施設は限られています。主治医などと相談されることをおすすめします。


  • FISH法

染色体には遺伝情報が詰まっており、染色体の中に遺伝子があります。患者さんから採取した骨髄液を用いて、染色体の異常を調べます。 特に、患者さんに応じた治療を考えるうえで、とても重要な情報となります3)


② 病気の進行具合を調べる検査

CLLには病期分類というものがあり、貧血や血小板減少の有無、リンパ節の腫れの数、肝臓や脾臓の腫れの有無などで病期分類を実施します。早期の場合は治療をしないで経過をみますので、治療開始基準に合致しているかどうかを検討することは重要です。注意しないといけない点は、CLLの病期分類のためのリンパ節の腫れや肝臓や脾臓の腫れはあくまで医師の身体診察所見だけで決められ、CT検査などは補助的に用いられるということです。

③ 治療に適した臓器機能なのかを調べる検査4)

心臓、肺、肝臓、腎臓などの機能が保たれているかどうかを調べます。また、併存疾患(へいぞんしっかん)といって、CLLとは無関係に以前から持っておられる持病など、例えば高血圧、糖尿病、不整脈などの病気があり、治療をしている状態なのかなどを調べて、使用予定の抗がん薬により治療可能かどうかなどを検討します。


④ 生活環境を考慮して、相談しながら一緒に適切な治療を決める

就労の状況、自宅での生活環境、病院までの通院方法・必要な時間、治療に対する希望など様々な患者さんの考えを聞きながら、CLL細胞の治療抵抗性の問題、病期、体の状態、そして一番大切な患者さんの考え、気持ちを総合して適切な治療方法が決まります。

  • 1) Olszewski AJ. Chronic Lymphocytic Leukemia. In: Ferri FF, ed. Ferri‘s Clinical Advisor 2019. Philadelphia, PA: Elsevier, Inc.; 2019: 326-328. e1.
  • 2) Bain BJ. Diagnosis from the blood smear. N Engl J Med. 2005; 353(5): 498-507.
  • 3) Catovsky D, Montserrat E. Chronic lymphocytic leukaemia and other B-cell disorders. In: Postgraduate haematology. 6th ed. Blackwell Publishing Ltd; 2011: 530-557.
  • 4) Wierda WG, Byrd JC, Abramson JS et al. NCCN Clinical Practice Guidelines In Oncology (NCCN Guidelines®). Chronic Lymphocytic Leukemia/Small Lymphocytic Lymphoma. V.2.2020. National Comprehensive Cancer Network® (NCCN®). October 2019: 1-95.