慢性リンパ性白血病(CLL)の予後

慢性リンパ性白血病(CLL)は病後の経過が長い病気であることが知られています。症状が出てきたら適切なタイミングで治療をする必要があります。このページでは、CLLの予後などについてご紹介します。

病気にかかった後の経過を「予後」という

医療ドラマの中などで医師が使う「予後」という言葉。医学用語で、病後の経過(「広辞苑」より)を指します。

慢性リンパ性白血病(CLL)は、経過の長い疾患1)

CLLは、一般に経過の長い疾患であることが知られています。したがって、基本的に早期の場合は、慌てて治療することもありません。しかし、症状が出てきたり、血小板の検査値に異常が認められる、CLL細胞の倍加時間が短くなってきたなどの場合は適切なタイミングで治療する必要があります。
そのために検査をして、病期分類を確認しておくことが大切です。

※一部に進行が速いタイプがあります

慢性リンパ性白血病(CLL)の予後因子1)

CLLの予後は、様々なことで変わってきます。


【病期分類】 病期分類の説明はこちら

改訂Rai分類Binet分類とも、病期が進めば進むほど、予後が悪くなるとされています2)

CLLの予後因子


【染色体(遺伝子)異常】 染色体(遺伝子)検査の説明はこちら

遺伝子異常によっては、治療が効きにくいことなどがわかっているため、予後が悪くなる場合があります。

遺伝子異常の例
17p欠失
TP 53 異常
免疫グロブリン重鎖可変領域(じゅうさかへんりょういき)(IGHV )非変異

【身体の状態1)

身体が健康な状態が保てていれば予後が良く、身体が弱ってしまうと予後が悪くなります。また、CLL以外にも病気を持っていると、やはり予後が悪くなるとされています。
当たり前に感じられることですが、これが「研究をもとにわかっている」ということです。

身体の評価をもとに、以下のように分類されます。

  • CLLの標準的な治療が実施できる場合→fit(フィット)
  • CLLの標準的な治療が推奨されない場合→unfit(アンフィット)
  • 支持療法が考慮される→frail(フレイル)(支持療法に関してはこちら

β2-ミクログロブリン1,3)

血液中のβ2-ミクログロブリン濃度が高い(2mg/L以上)と、予後が悪いとされています。

身体の状態は治療に大きく関わります。だから予後にも関わる、ともいえます。
(治療に関してはこちら)。

そのほか、抗がん薬の効果が出ているかどうか(治療反応性といいます)や、最近になってわかった染色体や遺伝子の異常など、様々なことが予後に影響を及ぼします。

  • 1) 日本血液学会編: 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 金原出版, 2023, pp.147-148
  • 2) Montserrat E. New prognostic markers in CLL. American Cancer Society (ACS)
    Hematology. 2006; 1(1): 279-284.
  • 3) Tsimberidou AM, et al. J Clin Oncol. 2007; 25(29): 4648-4656.

CLLが疑われる、または診断された直後の方に関する記事

  • 血液がんと白血病の分類

    血液がんと白血病の分類

    詳細へ

  • 慢性リンパ性白血病(CLL)の病態

    慢性リンパ性白血病(CLL)の病態

    詳細へ

  • 慢性リンパ性白血病(CLL)の疫学

    慢性リンパ性白血病(CLL)の疫学

    詳細へ